こんにちは!
今回は、洗口剤の効果や種類についてお話しします。
《バイオフィルムと歯周病》
バイオフィルムとは微生物の塊でプラーク(歯垢)はその典型例です。
また、花瓶の内側や流しなどにみられるぬるぬるした粘着物もバイオフィルムの一種です。
歯周病はプラーク(バイオフィルム)が原因で発症する細菌感染症ですが、
プラークはその付着部位により、歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラークに分けられます。
歯肉縁下プラーク(歯茎の中に付着したプラーク)には、
グラム陰性嫌気性菌(酸素が苦手な菌)である歯周病菌が多く存在し、
炎症が生じることで歯周病を引き起こします。
歯肉縁上プラーク(歯茎の上に付着したプラーク)は、形成されると歯茎に炎症が生じ、
深い歯周ポケットを形成することで歯周病菌が増殖する環境ができることから、
歯肉縁上プラークも歯周病の発症に大きく関わっています。
洗口剤には歯肉縁上プラークの破壊や殺菌、
プラークの再沈着を予防する効果があることが認められています。
一方で、うがいだけではポケット内0.5mm程度にしか作用しないことから、
歯肉縁下プラークに関しては大きな効果が望めないと考えられています。
《洗口剤の種類と特性》
①歯面やバイオフィルム表面に付着して作用する薬剤
バイオフィルムや細菌、歯面や粘膜に付着することで殺菌作用を発揮します。
また、歯面等に付着することでプラークの再形成を抑制する効果が期待されます。
〈有効成分〉
・グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)
・塩化セチルピリジウム(CPC)
・塩化ベンゼトニウム(BTC)
②バイオフィルム深部へ浸透して作用する薬剤
バイオフィルム内に浸透し、短時間に殺菌性を示します。
〈有効成分〉
・ポピドンヨード(PI)
・エッセンシャルオイル(EO)
・トリクロサン(TC)
《洗口剤の応用方法》
ブラッシングやクリーニングの後に洗口剤を使用する場合は、
歯面へのプラークの再付着を抑制する効果のある、
グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジウム、塩化ベンゼトニウム
などが入っているものがおすすめです。
しかし、歯磨き粉に含まれるフッ素を歯面に作用させるためには、
ブラッシング直後の洗口は避けたほうが良いため、
ブラッシング後は30分程度の時間をあけてから洗口する方が好ましいといわれています。
ブラッシングとブラッシングの間に行う洗口では、
バイオフィルムに殺菌効果があり、プラークの形成を抑えることのできる、
ポピドンヨード、エッセンシャルオイルが入っているものがおすすめです。
《まとめ》
洗口剤はプラークの形成抑制や抗炎症作用により、歯肉炎や慢性歯周炎の予防が可能です。
しかし、洗口剤だけではプラークを除去することはできないため、
歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを使用してから、仕上げとして使うようにしましょう!
参考文献『日歯周誌 58(2):86-90,2016』
次回は、歯ブラシの交換時期についてお話しします!
上用賀おおたデンタルクリニック