こんにちは!
今回は、歯周病と喫煙の関係についてお話しします。
タバコの煙には、三大有害物質として
一酸化炭素・ニコチン・タールが含まれています。
タバコはお口で吸うため、最初に煙にさらされ、
もっとも強い影響を受けるのが口腔内になります。
《タバコがもたらすお口の中への悪影響》
*喫煙5年未満
喫煙を開始するとまず、歯の着色や歯茎が黒ずむなどの審美的な影響が現れ、
その後、少しずつ口臭や味覚の減退を感じるようになります。
ニコチンやタールなどの有害物質から歯茎を守るためにメラニン色素が作られ、
歯茎が黒ずんだり、分厚くなり硬くなっていきます。
特に若年者は着色の影響を受けやすく、
子どもに歯茎の着色がある場合の親の喫煙率は7割を超えることや、
成人においても、配偶者が喫煙者の場合の歯茎の着色割合は、非喫煙者と比べて3.7倍
という報告もあります。
*喫煙5〜10年
喫煙習慣が長くなると、歯周病による歯の喪失やお口の中の傷の治りが遅くなります。
特に歯茎などの歯周組織は、ニコチンの血管収縮作用による影響が大きいといわれています。
また、タバコ煙により歯周病菌が活性化したり、病原性が増加することが分かりました。
喫煙者は、歯茎からの出血が少なく、歯周病治療の反応が悪いため、
磨き方の改善だけでは、歯周病をコントロールすることは難しいと考えられています。
さらに、ご自身の歯だけでなくインプラントも歯周炎になるため、
喫煙者のインプラント脱落の割合は非喫煙者の1.8倍と報告されています。
*喫煙10年以上
もっとも深刻な状況は、口腔・咽頭がんの罹患リスクが高くなることです。
口腔がんが発生する最大の原因は、喫煙です。
喫煙者の口腔がん発生率は非喫煙者に比べ約7倍も高く、
死亡率は約4倍も高いという報告があります。
また、がん治療後の禁煙を継続することが、予後に影響するといわれています。
*その他
妊娠初期の能動喫煙は催奇性があり、口腔顎顔面奇形の発症と関連があることが
多くの研究により知られています。
一方、妊娠中の受動喫煙によっても同様の可能性があることが示唆されています。
《禁煙の効果》
喫煙関連の歯科・口腔疾患は、禁煙により改善します。
しかし、禁煙してすぐに効果が出るわけではなく、
歯茎の色素沈着は禁煙から6年以上で非喫煙者と同等になり、
歯周病や歯の喪失は10年以上、口腔がんは20年以上で
非喫煙者と同じ罹患リスクになります。
さらに、重度の歯周病に悩まされている方でも、禁煙することで、
歯周病治療の結果に違いが出てくる場合が多くあります。
従来のタバコでも、加熱式タバコでも、ニコチンは含まれており、
微量のタールでも血流が悪くなるため、歯周病予防には禁煙が効果的です。
長年の習慣を改善するのは難しいことですが、
お口や身体の健康のために、禁煙から始めることをおすすめします^^
参考文献『デンタル ハイジーン Vol.37 No.11 2017.11』
『医学のあゆみ Vol.265 No.10 2018.6.9』
次回は、歯周病と妊娠の関係についてお話しします!
上用賀おおたデンタルクリニック