こんにちは!
今回は、口腔がんについてお話しします。
近年、欧米諸国では口腔がんの罹患率は減少してきています。
しかし、日本においては他臓器がんと同様に増加傾向にあります。
《口腔がんはどんながん?》
口腔がんの好発年齢は50〜60歳で、男女比が3:2で男性が多い疾患です。
口腔がんには悪性黒色腫や骨肉腫に代表される肉腫も含まれますが、
大半は口腔を覆う粘膜に発生するがん『口腔扁平上皮がん』です。
好発部位は舌(全体の約60%)、次いで多いのが歯茎で約18%を占めます。
歯茎は直下に骨が存在し、早期から顎の骨に浸潤するという特徴があります。
そのため、歯肉炎や歯周炎などの歯周疾患と間違えられやすく、
歯周治療や抜歯を行なった後、治癒不全となり、がんとわかる場合もあります。
《口内炎と口腔がんの違い》
口内炎
いくつか種類がありますが、一般的なアフタ性口内炎は強い痛みを伴う
数ミリの灰白色〜黄白色の潰瘍が生じます。
口の中のさまざまな部分の粘膜にでき、舌に発症することも多くあります。
一般的な口内炎であれば、複数発生することも多く、1〜2週間程度で自然治癒します。
口腔がん
発生部位により舌がん、歯肉がん、頬粘膜がん、口底がんなどと呼ばれ、
歯以外の口の中の粘膜に、どこにでも発生する可能性があります。
5年相対生存率は男性60.7%、女性69.4%です。(2009〜2011年のデータ)
見た目(視診)だけで100%診断するのは難しく、
最終診断を付けるには病理検査が必要です。
口腔がんを疑う潰瘍は周囲がやや膨隆、周囲に硬結があり、
出血しやすいという特徴があります。
病変と周囲健常部粘膜との境界が不明瞭となっている場合は悪性を疑わなければいけません。
2週間以上改善のない口内炎は悪性腫瘍である可能性が高くなります。
《発生要因》
舌がんを含む口腔がんが発生する主な要因は、喫煙と飲酒です。
口腔がん全体の80%はたばこが原因と考えられています。
飲酒はそれだけでも危険性が高まりますが、喫煙と飲酒の両方の習慣がある人では、
より危険性が高まることがわかっています。
お口の中に違和感があると感じた時には、鏡でお口の中を確認してみましょう。
しかし、ご自身で判断するのは難しいため、気になる症状があるときは、
歯科、口腔外科などを早めに受診してみてくださいね。
出典『国立がん研究センターがん情報サービス』
参考文献『歯科衛生士 2022 vol.46』
次回は、口腔乾燥症についてお話しします!
上用賀おおたデンタルクリニック